秋空
台風が過ぎると同時に、沖縄にも秋が来た。
この季節が僕は好きだ。
半袖を着るには少し肌寒い。
そんな日に近所の公園を歩いたりしてみる。
落ちかけた葉の間から射す日は暖かくて
缶コーヒー片手にベンチでひと休み。
柄でもないのに何となく本を読んでみるのも良い。
見上げれば、澄み渡るのは淡い青空。
探しても入道雲は見つからない。
地面には枯れ落ちた木の葉が風に舞う。
何度も見たこの景色にいつも初めての感動を覚える。
夕暮れ時こそ秋だと思う。
誰も描けないようなグラデーションが空いっぱいに広がる。
それが少しずつ色鮮やかになるのは見ていて面白い。
寂しさ、静けさが感傷的にさせる。
昔のことを思い出したりして、それが少し痛かったりして。
いろんな気持ちは白い息に混じって吐かれる。
暖かくも冷たいこの秋はあまりにも短い。
そんな淡く儚い瞬間にいろんな思いを馳せる。
何をしても飽きることのない秋。
この季節が僕は好きだ。